第219章 本能的な警戒

「わかった。じゃあ、ロビーで落ち合おう」

一条昴はそう言って頷いた。

橘凛は一人、エレベーターで最上階のプレジデンシャルスイートへ向かった。

廊下には分厚い絨毯が敷き詰められ、足音を完全に吸い取っている。頭上の豪奢なクリスタルシャンデリアが、明るくもどこか冷ややかな光を落としていた。

スイートのドアの前に立ち、ベルを鳴らそうとしたその時、背後から車輪の転がる音が聞こえてきた。

反射的に振り返ると、ホテルの制服を着た白人のウェイターが、純白のテーブルクロスが掛けられたワゴンを押して近づいてくるところだった。銀色のドームカバーが並んでいる。

ウェイターは模範的な笑みを浮かべ、現地の訛...

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